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僕らはみんな生きづらい『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』感想

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夢から覚めたあの子とは きっと上手く喋れない

『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』を読み解く鍵は「生きづらさ」にあると思います。

全8話という短編集の中で、登場人物たちは何らかの生きづらさを感じています。

表題作の「夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない」では、主人公のさおりは学校に行けません。

「石鹸」に登場する気性の荒い兄は、嫌なことがあるとひと晩中「石鹸」で身体を洗うため、肌がカサカサしています。

宮崎夏次系の作品は独特でシュールであり夢のようですが、登場人物たちが抱えている悩みがリアルなため、めちゃくちゃ胸にきます。

後を引きます。

好きなものは世の中にいっこでいい。大切なものに代えがあるのは、さみしいから。…第一話「明日も触らないね」よりこれまでにないマンガ表現を模索する絵柄や描写で、評論家や目利きの書店員から2010年代を牽引する逸材として注目を集める宮崎夏次系の最新作。今作では、人間のあらゆる種類の「さみしさ」を描いた短編九本が収録されている。

引用元:Amazon(https://www.amazon.co.jp/dp/B07C3QQ49N/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)

『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』感想

明日も触らないね

「おまえの母ちゃん、生きてます」

父親の遺言ビデオで、死んだと思っていた母親が生きていたことを知る主人公。

偶然、銀行で母親と思わしき人物を発見し、尾行することにします。

しかし、母親は着信音をマツケンサンバにして電車のなかで大声で電話するような人でした。

感想

すごくどうでもいいのですが、電車がやってくるときの擬音が「ポコ○ン、ポコ○ン」で笑ってしまいました。

主人公が考える「好きなものは世の中でいっこでいい」というのが、最初で最後で現れて、何か良いと思いました。

わるい子

この漫画のなかで一番好きなのがこの作品です。

久しぶりに高校時代の友人に再会したら、昔と変わってしまっていた。

ゆのちゃんは周囲に呪詛を吐くような子だったのに、明るくて良い子になっているという話。

ここでキーになるのが高校時代のエピソード。

先生がなんちゃら発作で死にかけているのに、名平さんとゆのちゃんは「先生が盆踊りを踊っているみたい」で笑ってしまうというもの。

名平さんにとっては高校時代の大切な思い出で、恐らくゆのちゃんと「あれは面白かったね」と共有したかったのだと思います。

しかし、ゆのちゃんの婚約者である宗教者の人が現れる。

「私と出会って彼女は良い方に変わった」という宗教者。

宗教者がお酒を買いに行っているときに、名平さんは「本当に悪いと思っている?」と質問します。

ゆのちゃんは「笑えただけだったよ、盆踊り」と高校時代の悪い笑みを見せます。

ゆのちゃんは本当は変わっていなかったとわかったとき、名平さんは自分の気持ちを抑えきれなくなってキスしてしまうという話。

最初から最後まで全てが好きでした。

個人的には、ゆのちゃんの「インチキでも安心するほうがいいの」という台詞も好きでした。

まとめ

宮崎夏次系は独特の世界観をもっている人で、この作品も「おもしろいorおもしろくない」の評価とは別のベクトルを向いているものです。

何かしらの「生きづらさ」や「窮屈さ」を感じている人は、『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』は心に届くものがあると思います。

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